おはようございます。
マグBLOGを運営しているマグワイアです。
さて、第5回目となる「ニュースをかみ砕きたいシリーズ」です。(勝手にシリーズ化していました)
今回のテーマは「家庭部門のCO2排出削減目標が66%減」と設定されることについてです。
いきなりややこしそうなテーマ!
そう思った方もいらっしゃるかと思います。
現在、CO2排出を巡る攻防が繰り広げられており、先日7/26に示された地球温暖化対策計画案では非常に野心的な目標が示されたところです。
正直、家づくりをしていなければさほど興味が湧かなかったかもしれませんが、家の性能などについて興味関心をもって調べるうちになぜかここに辿り着きました。
なるべくかみ砕いて、「どんな目標が掲げられていて、達成のためにどのような道筋が示されているのか(いないのか)」をご紹介したいと思います。
小中学生が読んでも「ふ~ん」と思ってもらえるようにかみ砕いて「家庭部門のCO2排出削減への道筋」について解説します
- 家づくりを通じて脱炭素や再エネに興味がわいた施主
- 肩入れしている政党や宗派なし
- 世の中の出来事に薄く広い関心あり
- 物事を分かりやすく伝える勉強中
- 感覚派(文系脳>理系脳)
結論:国民の意識改革と行動変容を促す
結論を読んで、そんなばかな!と思う方もいると思います。私もそうでした。
これだけ野心的な目標が掲げられていながら、「国民各界各層における意識の変革と行動変容」が必要だと強調されております。(報道では)
かいつまんで言うと、
CO2を出さないような「意識」をもって、「行動」を変えていこうね
ということ…。
そうです。
「どのように」が抜け落ちています。
どのように実現するか、具体的な施策が無いと全くイメージできません。
とはいえ、ここでは揚げ足取りをすることが目的ではありませんので、様々な会議で言われている「家庭部門ですべきこと」についての提言(施策)をご紹介します。
①ZEH・ZEBの普及
2030年における「新築」の住宅・建築物については、平均でZEH・ZEBの実現を目指すこととされています。
小中学生が読んでも「ふ~ん」 と思ってもらえるように、というコンセプトから大きく逸脱するこのアルファベットの羅列…。簡単に解説します。
家の断熱性能などを高めつつ太陽光などの再エネを活用しながら、家で使うエネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅
(ざっくり言うと→)自分たちでもエネルギーを作る→効率的に使う→貯めるor余った分は売る→足りない分だけ電力会社やガス会社から購入するという循環が実現できる住宅
ZEBは、 ゼロエネルギービルといって、「ハウスをビル」に置き換えたものと思ってください。
基本的な考え方は同じで、それが住宅か建築物かの違いです。
何だか非常に高性能な家と言うことは分かったけど、どれくらい普及しているのだろうかと疑問に感じると思います。
私もそう思いました。
調べてみると、「ZEHロードマップフォローアップ委員会」なるものが存在しておりそこに実績が載っていました。
更なるZEHの普及促進に向けた今後の検討の方向性等について(令和3年3月31日)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/pdf/20210331.pdf
大手ハウスメーカーでは年々増加しているようですが、一般工務店ではそこまで普及せずに全体では2割程度となっているようです。
決して一般工務店が悪いということを言いたいのではなく、施主にとってZEHを実現するための費用対効果が見えにくいのも普及しない一因かと思います。
あと9年で、新築の平均でZEHを目指すというのがいかに野心的な目標なのか分かります。
ちなみに、「第13回 再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」の資料では、次のような記載もあります。
「住宅等の性能に応じて暖冷房を行うなどの住まい方を実践することが重要であること(暖房の全館・連続運転を行う場合は、住宅の断熱性を十分に高めないとエネルギー消費量が増大してしまうといったことが生じる)」
家の性能を高めるというのは難しいですね。
②太陽光発電の更なる導入
これは何度も聞いてきましたよね。
私のブログでも過去に取り上げたことがあります。(まさかの初回テーマでした)
ある意味、家に風力発電を入れる人はいないと思うので、太陽光発電を増やさない限り家庭部門のCO2排出削減は難しいとも言えます。
とはいっても、補助金などの手当てもなく、「意識改革と行動変容」だけで「よし!我が家にも太陽光を載せよう」とはなりません。
ちなみにどの程度の目標が掲げられているかと言うと、
2030 年に供給される新築戸建住宅の約 6 割に太陽光発電を導入することを検討。
(国土交通省・経済産業省・環境省に対する再エネタスクフォースからの質問事項への回答より)
新築の6割に太陽光を載せるというのはなかなか野心的です。
2020年10月の資料では、戸建て総数に対する太陽光設置割合は「9%」とのことです。(新築に対する割合を見つけられませんでした。すみません)
太陽光発電の状況(2020/10/30 一般社団法人太陽光発電協会)
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/062_01_00.pdf
補助金の手当てもそうですが、「メンテナンス体制」や「耐用年数経過後の廃棄フロー」も明確に示されることを望みます。
おわりに:絵に描いた餅にならないように
ある意味政治的な事情により、非常に野心的な目標が示されたCO2排出削減を取り巻く状況はめまぐるしく変わっています。
「数字合わせだ!」なんて揶揄されることもありますが、逆に数字合わせをこの短期間で行った官僚はある意味凄いなと感心すら覚えます。
ただし、ZEHにかかる費用、太陽光を導入する費用対効果を何となくバフっと理解しつつある、家づくりをしている施主目線で考えると、「意識改革」だけでこれらを導入する人は多くないと思います。
数百万円かかる費用に対して、CO2排出削減のために!と前向きに進めるかというと少し疑問符がつきます。
とはいえ、国民が同じ方向をむいて進む必要があるのは理解しているので、数字合わせではなく実になる対策が打たれることを願います。
絵に描いた餅にならないように。
今後もこれら動向は気にして追いかけたいと思います。